桐榮哲也

満月の夜のコンサート2023

10/29(日) 20:00開演

 

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下の画像をクリックされると最初の3分25秒間は開演前の静止画像です。

YOUTUBEボタンを押して、サイトに飛んでから早送りをしてスタートしてください。

多くの方にご視聴いただき、たくさんのコメントも頂戴し、ありがとうございました。


ご挨拶


 

 

静かな森に佇む、小さな音楽ホール。

 

ここに、ピアニスト桐榮哲也先生をお招きしての、満月の夜のコンサート。

昨年に続き、You Tube無料生配信いたします。上のサムネイル画面をクリックすればどなたでもご視聴可能です。

 

今から200年程前に作曲されたクラッシックピアノの名品。楽譜に記された一曲一曲が、音楽家、演奏家たちによって紡がれ、受け継がれて、現在も色褪せることはなく、輝き続けています。

 

その中から今宵のために桐榮哲也先生が選ばれたプログラムを、皆様にお届けいたします。

 

満月の夜に、素敵なひとときを。

 

井上音楽堂

 

 


 

 

今年もこのコンサートで演奏できる事を大変嬉しく思っております。


今回で2回目となります満月の夜のコンサート、昨年第1回目のコンサートが終わった直後から「来年は何を弾こう?」とワクワクしながら時間をかけてプログラムを練って参りました。そして今回も井上音楽堂の雰囲気に合わせた、私のお気に入りの作品をご用意致しました。

今年も皆様とオンライン上でご一緒出来ますことを楽しみにしております。

 

ピアニスト 桐榮哲也


プログラム



プロフィール


ピアニスト

桐榮哲也

Tetsuya Toei

オフィシャルサイト

7歳よりピアノを始める。

 

11歳頃ソプラノ歌手のキャスリーン・バトルの来日リサイタルを聞きシューベルトの歌曲とピアノ伴奏の美しさに開眼し、ピアノが好きになる。

 

ピアニストになることを決意し普通高校を1年で退学、桐朋学園大学付属高等学校音楽部、桐朋学園大学を経て卒業後ドイツへ。ベルリン芸術大学卒業後、パリに移住。

パリ・エコールノルマル音楽院にて高等演奏課程のディプロムを審査員の満場一致で取得後、同音楽院コンサーティスト高等ディプロム課程にて研鑽を積む。サミック・ベヒシュタインコンクール(ドイツ)ファイナリストディ プロマ、ナレンチュフインターナショナルフェスティヴァルコンクー ル3(ポーランド)、アグロポリ国際ピアノコンクール4(イタリア)等国内外のコンクールで入賞。

 

これまでに木村徹、加藤智子、練木繁夫、若林 顕、ファビオ・ビディーニ、故エレーヌ・ラピツカヤ、ギグラ・カツァラヴァに師事。

 

7年に及ぶ留学後、日本に帰国し,千葉県浦安市にてピアノスクールを開講、自身の演奏活動を続けながら幼児から大人まで多くの生徒に「自分のピアニズムを大切に」をモットーに指導している。 

 

帰国後もヨーロッパでの演奏会にソリストとして招かれる等、国内外で演奏活動を行っており、これまでに東京シティフィルハーモニック管弦楽団、ルーマニア国立ディヌリパッティ管弦楽団、ワルシャワフィルハーモニー弦楽四重奏団らと共演。

 

東京文化会館を始めとする国内主要ホールにてピアノソロリサイタルを定期的に開催。

 

CD「リスト:ピアノソナタXシューマン:幻想曲」「ブラームス:後期ピアノ作品集」をリリース、多くの音楽雑誌に取り上げられ、アップルミュージック、アマゾンミュージックなどのストリーミングでは世界中にて再生されている。 

 

日本演奏連盟会員、演奏年鑑掲載ピアニスト、全日本ピアノ指導者協会PTNA正会員。クラシック音楽コンクール全国大会審査員。TOEI MUSIC SCHOOL代表。また東京都立総合芸術高校ピアノ科にて後進の指導にあたる。 


プログラムノート


 

本コンサートの当日、2023年10月29日の早朝は部分月食です。

 

明け方午前5時すぎに、西の空に沈みいく月に映った地球の影を見ることができます。部分的に欠けて沈んだ月は、その夜午後6時頃、東から満月となってのぼってきます。コンサートの間、満月は徐々にその高度を増していきます。  

 


ベートーヴェン 

ピアノソナタ第14番

「月光」Op.27-2

 より 第1楽章

 

 

プロローグは今宵の幕開けにふさわしい、「月光 第1楽章」です。 

 

ベートーベン(ドイツ:1770-1827)30歳のときの作品で、月光というタイトルで親しまれるようになったのは作曲されてから40年ほど後になってからです。

 

ドイツの音楽評論家、詩人であるルートヴィヒ・レルシュタープが、ベートーヴェンの没後5年が経過したころ、この第1楽章を「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現したことがはじまりといわれています。 

 

ベートーヴェン  

ピアノソナタ第31番

Op.110 

全楽章 

 

ベートーヴェンはその生涯で32曲のピアノソナタを作りました。

 

ソナタとは、イタリア語で鳴り響くという意味の「ソナーレ」に由来する語で、多楽章構成をもつ曲がソナタと命名されるようになりました。

ベートーベンは古典派ピアノソナタの最大の完成者であり、そのひとつひとつが珠玉の名品で「ピアノの新約聖書」とも呼ばれています。その全32曲をソロコンサートにて演奏するという、8年がかりのプロジェクトに桐榮先生は取り組まれています。

この、第31番は、ベートーベンが51歳のときの作品です。 

 

con amabilità(愛をもって)と付記された第一楽章。

旋律の一部が『Unsre Katz hat Katzerln gehabt』(うちの猫には子猫がいた)という当時の流行歌に着想を得たとされる第二楽章。

フーガ(対位法)の技法がふんだんに織り込まれた第三楽章。 それらで構成された、傑作です。  

 

 

『ベートーヴェンの音楽は、高い芸術性の中に彼の強い意志や情熱が感じられるところが魅力だと思います。昨年よりベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏プロジェクトに挑戦しています。

本日演奏する神秘的な第1楽章の第14番「月光」、晩年の作品である第31番、どちらもベートーヴェンの人生の深淵をのぞいた様な気がする作品です。(桐榮)』

 


ドビュッシー 

ベルガマスク組曲より 

"月の光"

 

1890年、ドビュッシー(フランス:1862-1918)が28歳のときの作品。

フランスの詩人ポール・マリー・ヴェルレーヌによる詩 ”Clair de Lune”(月の光)(1869年作)に着想を得たものです。

 

その詩の一部をご紹介します。

Au calme clair de lune triste et beau,

Qui fait rêver les oiseaux dans les arbres

Et sangloter d'extase les jets d'eau,

Les grands jets d'eau sveltes parmi les marbres

 

枝の小鳥を夢へといざない、

大理石の水盤に姿よく立ち上がる

噴水の滴の露を歓びの極みに悶え泣きさせる 

かなしくも身にしみる月の光に溶け、消える。 

訳:堀口大學 「フランス詩集 青春の詩集/外国編8」より (1966年 白鳳社初版) 

 

 

今夜の満月がもし見えなくても、また、見えない場所にいても、私たちは月を思う心で、その美しさを感じることができます。

 

作曲家たちは感じた思いを曲にして、楽譜に書き記して贈りだしてきました。

   

『この曲を聞いていると頭の中で月の光が降り注ぐ情景や物語が浮かんできます。皆さんも演奏を聞き終えたあと、何か思い浮かんだら是非、YouTubeサイト内のチャットのコメント欄にて教えてください。(桐榮)』

 

 


ショパン 

ノクターン第17番 作品Op.62-1

 

ピアノの詩人、ショパン(ポーランド:1810-1849)36歳のときの作品。 

  

ノクターンとは、ラテン語のNox(ノクトゥルヌス「夜の」)から派生し、夜の瞑想、それをイメージする歌曲を示していましたが、やがて美しい旋律のピアノ小品にノクターンというタイトルがつけられるようになり、日本語訳は「夜想曲」です。

 

180年ほど前に作られた夜想曲のメロディ。

ショパンが感じた世界が、音の響きの重なりの中で伝わってきます。

 

『ノクターンの中で最も美しい作品の一つだと思います。ショパンが生前に発表した最後の夜想曲です。(桐榮)』




ショパン 

幻想曲 Op.49

      

本日の満月の夜のコンサート、プログラムのラストは、「幻想曲」。ショパン31歳のときの作品です。

 

恋人ジョルジュ・サンドと、春夏はフランスの北西部ノアンで、秋冬はパリで過ごしていた時期に作られました。 

ショパンは幻想(ファンタジー)と名のつく曲を3つ書きました。幻想即行曲、幻想ポロネーズ、そしてこの幻想曲です。

 

『幻想曲はプログラムの最後を飾るのに相応しい、壮大で情熱的な作品です。ショパンの作品の中でも最初は難解な曲と感じていましたが、時間をかけて勉強し、また人生経験を積むにつれて段々と理解出来るようになり、今では大好きな作品になりました。(桐榮)』

      

幻想曲にのって月はさらに高度を増し、地上から遥か上にあります。

幻想(ファンタジー)の世界は華やかな調べできらめき、秋の夜空に溶け込んでいきます。


 

 

アンコール

 

Over the rainbow 

虹の彼方に